11月歌舞伎座 盟三五大切
11月2日(土)11:00開演 歌舞伎座 8列 花道寄りのブロックから
通し狂言「盟三五大切」
序幕
佃沖新地鼻の場
深川大和町の場
二幕目
二軒茶屋の場
五人切の場
大詰
四谷鬼横丁の場
愛染院門前の場
廓文章
吉田屋
盟三五大切を前回に拝見した時は三五郎が仁左様、源五兵衛が吉右衛門さん、小万は今回と同じ時蔵さんだった。あと時も良かったが、今回はまた別の良さがあった。
序幕の菊五郎さんと時蔵さんの舟の上での濡場は、すごく濃厚で目のやり場に困るよ。前はもっとサラッとしていたから、やっぱり演じる人が違うと、変わるもんだね。
そして源五兵衛の仁左様の登場がまた、素敵なんだな。屋形船にすっくと立つお姿が美しいぞ。お着物は灰色というか霜降りのようなモノトーンのものだったけど、ん?黒じゃなかったっけね??記憶違いかな。
源五兵衛、実は不破数右衛門で塩冶浪人という設定だ。で、仇討ちに加わるための資金を調達しようとしているというのだが、今は小万という芸者に入れあげて、家財すらも売り払う始末となっている。小万は三五郎の女房だが、それを隠して源五兵衛から金を搾り取ろうとしている。それは、三五郎の父親のお主のために必要な金子を手に入れるため。これがややこしい話しになる発端だ。
まだ、ご覧になってなくて、人の感想は読みたくないかもしれないから、続きにする。
あらすじはどっかで調べてもらうとして、前回と違うところは源五兵衛の我慢の仕方、怒りの表し方が、吉右衛門さんと仁左様で、ずいぶんと違う気がした。小万と三五郎に騙されたと知っての怒りは、もっともだが、小者に大事の体と言われて、思いとどまってからがの怒りが完全に身のうちに沈んでいて、表には見えてこない気がする。まるで、本当に諦めて悟ったような雰囲気なんだもん。
でも、その分が怖い。いや、花道を引っ込む時とか、お顔がよく見えるんだけど、すごみのあるシーンとした表情で、ううぅ怖い。
あとは、五人切りの場が、めちゃくちゃ静かなのだ。切られた人たちの悲鳴はあるけど、無言で無表情に、殺している源五兵衛の表情はすごく静かなのがまた、怖い。切られても血のりがあるわけじゃないので、夜の暗さに血の赤が映えるという場面はなかった。
でも、そのほうがずっと怖いわ。劇場の温度が下がった気がした。小万と三五郎はからくも逃れてしまい、殺すことは叶わないまま破れ傘をさして花道を去っていく。鳴り物は一切なし。花道を半分も過ぎたころに、いきなり謡をうたいだす源五兵衛。すごい迫力だ。鳴り物なしで、そのまま引っ込むのかと思っていたところへ、朗々とした声が響く。こんな引っ込みの仕方は誰にでもできるもんじゃない。
そして、四谷鬼横丁に越してきた三五郎夫婦を見つけ出して、訪ねていく執念。それも押さえた怒りが体に沈んでいるから、派手ではないんだけど、じわりじわりと怖さが募ってくる。
一旦、三五郎の家を去って後に、また戻ってきた時の不気味さ。小万の腕の刺青が「五大切」ではなく「三五大切」になっているのを見たときの、爆発する怒り。目が眩む程の怒りという言葉があるが、そんな感じだ。小万を嬲り切りにし、瀕死の小万の手に刀を持たせて、子供を殺させる時の表情が笑いを含んでいるように見えるのは気のせいか。
小万の首を切り落として、大切そうに抱えて、花道を引っ込むのだけど、七三で小万の首を覗き込み、微笑むのがまた怖いぞ。本当に小万に惚れきっていたんだろうが・・
愛染院で食事をするときも、飾った首にご飯を食べさそうとするし。ここで、サプライズがあるよ。
大詰めのドンデン返しは、省略さしてもらお。自分の罪の大きさに切腹しようとする源五兵衛を迎えにくる、塩冶の浪士たち。仇討ちに加えるというのだ。
ふぅぅ、こんなことってあっていいのかぁ。という結末だが、南北らしいということか。
ずっと、息をつめて見ていたので、真剣に疲れてしまった。次の吉田屋はまた次回に。
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コメント
>スキップ様
コメント、ありがとさんでおます。仁左様を呼び捨てにするとは不届き者メって、言いませんよ。
このお芝居を拝見するのって何度目なのかな。でも、こういう解釈の舞台は初めて拝見したと思います。
塩谷浪人という意味合いが解りにくくなってますけど、恋に狂った男の話しとしては、今までで一番だと思います。
今、思い出しても怖いですもん、仁左様の源五兵衛。前にも仁左様が言っておられましたが、途中からいたぶること自体が快感になっていくというのもあるのでしょうね。
女殺油地獄の時みたいに、途中から精神が歪んでいくのがわかるっていうか。
>仁左衛門のお芝居を観る時、ワタクシ、ほんとに
よくカエルになります(笑)。
わたしは、パニックを起こして動けない猫になります(爆)
投稿: どら猫 | 2008年11月27日 (木) 21時36分
ひゃ~、どら猫さま
先のコメントで「仁左衛門」なんて恐れ多くも
呼び捨てにしております。
大変失礼いたしました<(_ _)>
投稿: スキップ | 2008年11月27日 (木) 02時43分
どら猫さま
吉右衛門さんとの役づくりの対比を大変興味深く
読ませていただきました。
この演目は今回が初見でしたが、どら猫さんが
おっしゃる「静かなのが怖い」という感じ、本当に
その通りだと思いました。コワかったです。
そして、小万の首を見つめるあの表情は何とも
言えず目も離せず、まるで「ヘビに睨まれたカエル
状態」でした。
仁左衛門のお芝居を観る時、ワタクシ、ほんとに
よくカエルになります(笑)。
投稿: スキップ | 2008年11月27日 (木) 02時41分
>ぴかちゅう様
>忠義を色恋でふみはずして悩む役はハマリ役なんでしょうか(^^ゞ
まあ、色男系はハマり役とも言えるんではないかと思いますよ。世話物の色男はもう、立派にハマっておられるし。
南北とか近松とかの人間を掘り下げて描いているお芝居は、ご自分で解釈して深い役つくりをなさいますからねぇ。
色男も好きですが、仁左さまの義太夫狂言や時代物が好きですね。
投稿: どら猫 | 2008年11月24日 (月) 16時06分
昨日、歌舞伎座昼の部も観て来ました。さきほど感想をアップしたのでTBさせていただきましたm(_ _)m
>七三で小万の首を覗き込み、微笑むのがまた怖い......ここでフッとビアズレーの「サロメ」の絵が頭をよぎりました。それとこの生首はまだ温かいんだろうなぁとか、そういうイメージまで膨らむ仁左衛門丈の源五兵衛でした。勘平といい忠義を色恋でふみはずして悩む役はハマリ役なんでしょうか(^^ゞ
「寺子屋」もなんとか旅行前にアップしてしまいたいと思っています。
投稿: ぴかちゅう | 2008年11月24日 (月) 14時46分