リア王、平さんにブラボー!
2月23日(土) 「リア王」 梅田芸術劇場 18:30開演 22:30終演 16列上手
久しぶりの蜷川演出のお芝居です。それもシェークスピアなので、重いのは覚悟で行ったのですけど、その覚悟を上回る重量感のあるお芝居でした。
蜷川、平のお二人のコンビではこれが最後とのこと、もったいないなぁと思いますよね。
幕が上がると、結構シンプルな舞台。あとで砂漠にするためか舞台上はこぶが作ってありました。能の背景のごとく、松の大木を描いた壁と空を表す青の背景が使われていました。お衣装は豪華なファーコートを皆さん羽織っておられる。中の服はリア王以外は、ちょっと剣道着を連想させる、はかまと胴丸に似た衣装を付けていたようです。
コーディリアが小娘っぽい分、ゴネリルとリーガンが堂々たるもの。熟女の豪勢さが目一杯感じられました。
さて、キングリアのご登場。今回は短髪でやられるんだわね。きりりとして素敵でした。
老いて、王国を三人の娘に譲るにあたって、誰が一番自分を愛していてくれるかを問い、その答えによって王国を分割しようとするところから始まる。言葉巧みにリア王への愛を口にする姉二人に対し、「何も」と答えるコーディリア。余計なことは言うまいとしている割には、雄弁に姉たちを批判しているなと、ちといぢわるな見方をしてしまった。
しかし、口先の愛に目をくらませられたリア王は末娘を呪い、フランス王に持参金もなにも持たせずに与えてしまう。自分は100名の騎士を供に、娘二人の城に一ヶ月交代で世話になるという。 さあ、悲劇の始まりだ。
今回、とてもいいなぁと思ったのは、リア王の台詞が力はあっても力んでいないこと。昔の平さんの台詞は力強くてそれはそれで素敵だったんだけれども、渾身の力が感じられて疲れる部分があったと思う。それが今回は、とても自然な感じでいて、しかも力がある。
明晰な台詞まわしで、自然で、聞いていると心にびんびんと響いてくる。嘆きも怒りも、すこしコミカルなところも素直に入ってくる。だから、ハンカチがいる様なことになったんだろうな。
周りの方々もとても素敵で、調和のとれたいい舞台だった。これで平さんのリア王はもう見られないのだろうか。ものすごい台詞の量だし、体力も大変そうだけど、できればまた拝見したいな、と思うのはどら猫だけではあるまい。
今回は直感的に思ったことだけ書き留めておくエントリだ。ほかの方々の素敵さはまた別に書こうと思う。それぞれに魅力的な方たちでいっぺんには書ききれない。
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コメント
>スキップ様
陋屋へのコメント&TBを有難うございます。
>平幹二朗さんのリアは傑出していますが、舞台は1人では成り立ちませんものね。
まったくその通りだと思います。悪の側も善の側も道化も皆さん、素敵でした。エドマンドの演技の成長振りにはぴっくり。うれしい誤算でした。阿保もペーソスのある阿保でしたしね。かなうことならまた拝見したいですよね。
投稿: どら猫 | 2008年2月29日 (金) 02時39分
どら猫さま
>周りの方々もとても素敵で、調和のとれたいい舞台だった
ほんとにそうでしたね。
平幹二朗さんのリアは傑出していますが、舞台は1人では
成り立ちませんものね。共演者がいずれもすばらしく、“悪”の側の人間までが魅力的だったことが、このお芝居の大きな成功要因のひとつだと思います。
それにしてもこれが最後とは残念ですよね。
投稿: スキップ | 2008年2月29日 (金) 02時28分
>とみ様
コメントを有難うございます。
>これから墓場に行くまでこの舞台を反芻し続けるのですから価値ありましたね。
あはは、まったくですね。この舞台は忘れられそうにありません。感動しました。
これからも平さんの公演はあるのでしょうが、これを超えるほどのものがあるでしょうか?と思っちゃいますよね。
投稿: どら猫 | 2008年2月27日 (水) 01時22分
>どら猫さま
>とても自然な感じでいて、しかも力がある。
ご自身の演出では朗々と詠ったり,轟々と吼えるところもありましたが,吹っ切れておかし味もあって益々泣けました。
これから墓場に行くまでこの舞台を反芻し続けるのですから価値ありましたね。
テンペストも何度もみて,たんびたんびに泣けましたが,今度こそほんまもうあかんになることでしょう。
投稿: とみ | 2008年2月26日 (火) 12時42分